日本アトピー協会は、アトピー性皮膚炎およびアレルギー諸疾患に対して、安心と安全、そして快適と向上を目指す人々の暖かい誠意に基づき組織された団体です。

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心がけておきたいこと

スキンケア

アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患ですが症状は皮膚に現れますので医師の治療とともにスキンケアがとても大切です。入浴をはじめ衣類や肌自体を清潔にすること、保湿に気配りすること、皮膚を刺激しないことなどを守れば改善が得られるとされ、軽症度のアトピー性皮膚炎は薬物療法をすることなくスキンケアのみで改善されると多くの医師は奨励しています。

スキンケア

私たちは病気イコールお薬というふうに薬物療法に頼ります。劇的な感染症や致命的な場合は薬物は絶対に欠かすことはできませんが同じ割合で「養生」ということが必要です。風邪を例にしますと多くに方はふつうは薬で抑えようとします。睡眠と休養が何より必要なときに無理して仕事に出かけて肺炎となり、一日ふつかの休養で済むところが結局長期的な欠勤となり会社や周囲に迷惑をかけてしまうケースも多いと聞いています。アトピーの場合も薬物療法に頼りがちでしかも薬剤に対して忌避傾向が見られます。

痒い、痛い肌に正しくスキンケアを行うことは大変な努力を必要とします。ですが多くの医師は薬物療法とスキンケアは同じ比重で語られ、皮膚科学会の標準治療ガイドラインにもスキンケアの重要性をまず第一に謳っています。軽症の場合はスキンケアをしっかりと確実に行えばたいていは軽快し、治癒するケースも多いと多くの医師は認めています。

基本的なことを守る

高価な化粧品を使うのがスキンケアではありません。基本的なことをきっちりと守る、例えば汗をかけばタオル拭い肌着を取り替え、一度使ったタオルは洗濯機にいれる。外出から帰宅したときは手洗いとうがいをし、同時に洗顔をする。毎日入浴を欠かさずする。保湿剤や軟膏を塗る前は患部を清潔にしておくなど、ごく初歩的なことを怠っていませんか?

幼児アトピーのお母さん方で子供さんの顔を毎朝ていねいに拭いてあげているでしょうか。体のすみずみを拭いてあげているでしょうか。お湯をガーゼに浸して少しゆるい目に絞って拭いてあげるだけでアトピーが軽快することを知っておられるでしょうか?湿疹が出たすぐ軟膏という発想ではないでしょうか。

アトピーの方はほとんどがカサカサ肌

ご存知のように人の肌は乾燥肌あるいはカサカサ肌と脂性肌=シットリ肌に大別され、どちらでもない中間というのは少ないように思います。脂性肌の人はアトピー性皮膚炎にはなりにくく、アトピーの方はほとんどがカサカサ肌。

角質層の水分保持に係わっているセラミド層の結合が弱く、隙間状態があってそこから水分が蒸散します。つまり保湿能力が弱く、これがアトピーの要因です。人の皮膚表面は40%内外の水分を保持していますが、乾燥肌の方は、これが35%以下となり極端な場合は20%を切ることがあるそうです。乾燥傾向の方は常に肌の水分状況に注意し、かさついたときは保湿剤を塗るとか、スプレーで肌に霧吹き状に水分を与えるとかの配慮が必要です。

汗をかかなくても毎日一度は入浴

夏は毎日でも冬になると入浴回数は減る傾向にあります。昨今の経済環境では週に3回程度が平均でしょうか。特に独身生活の方は毎日風呂をたてると光熱費がたいへんです。しかし携帯でおしゃべりする電話代を減らしてでも毎日入浴することで、肌の乾燥傾向を食い止めることができます。原則的には夏であろうと冬であろうとアトピーの方は毎日一回の入浴は絶対に必要です。
水道水の残留塩素は誰かが先に入ると抜けてしまいます。独身の方なら木炭か竹炭を2片ほど入れておけば脱塩できます。

冬は「湯冷め」という心配もありますが就寝前に必ず入浴する習慣づけをしましょう。ただし入浴後は「痒さ地獄」が襲ってきます。体を冷やせば痒さは少しは治まりますが冬期となれば「風邪」の方が怖い…?、しかし入浴しなくても就寝時の一時期には、猛烈な痒さが襲ってきますのでむしろ肌に潤いを与えて温まって早く寝たほうが勝ちかも知れません。

水分保持が大切

幼児のスキンケアにワセリンをよく使います。皮膚表面をおおってしまい水分が抜けてゆくことは防げます。保湿目的は達成できますが、逆に水分の気化熱による体温調整が乱れて塗った部分の皮膚面に熱がこもります。熱がこもると痒くなりむずかります。

乳幼児にワセリンを使わない理由はワセリンが合成化学物質であるというのでなく皮膚表面の温度上昇による痒さを引き起こすからで、この場合、医師は水と相性の良いクリームを勧めています。

シャンプーには神経質に

石けんについてですが石けんやシャンプーでアトピーが治ることは絶対にありません。ナンセンスです。基本的には刺激物ですので肌に「悪さ」をする程度が少ないという…、そんな感じでしょうか。石けんやシャンプーは肌や頭髪には破壊要因の一つと考えておいたほうが無難です。石けんやシャンプーには神経質になってください。高価なものでなく普通の石けんで十分かと思います。なおシャンプーのすすぎは3分以上してください。結構長い時間です。歌謡曲の一曲分の長さと考えて好きな曲を口ずさみながらシャワーをしてください。

入浴は毎日のことですが、無頓着にシャンプーを使ってはいませんか?液体石けんの中には合成洗剤を含むものもあります。合成洗剤のすべてが悪玉ではありませんが、使わずに済めば無難です。シャンプーはもとより石けんも使ってはいけないと指導する医師もおります。しかし外用剤(軟膏やクリーム)を塗るときは患部を清潔にしておくことが必要です。やはり石けんで洗ったあとに外用剤を塗るようにしなければなりません。シャンプーの中の「界面活性剤」は皮膚に影響を与えます。ご注意ください。

スキンケア用品、高価だから効果があると思うのは錯覚です

化粧品会社各社ではアトピー用としてさまざまなスキンケア用品が市販しています。サンプルでいろいろ試してみて安心でき気に入ったものを末永く使うようにしてください。したがって化粧品会社各社にはアトピーや敏感肌用のアイテムはバージョン変更をできるだけ避けてロングランで使える品揃えをお願いします。なお一般感覚で通常品より倍以上の値段設定のものは、健康弱者の足元を読んだ「ボッタクリ商法」と受け取られます。また中小のメーカー品は意図しなくてもマルチまがい的な販売方法になるケースがあり、注意が必要です。

保湿にはオリーブオイル、馬油、つばき油、月見草油(ボラージ)など何の加工もしない「生成り」のものが長期闘病の患者さんには好評のようです。スペイン産のオリーブより採れるオリーブスクワレンもいいとか。コラーゲンとアトピーは直接の治癒関係はありません。くれぐれも一般価格の2倍内外のものに限定、高価だから効果があると思うのは錯覚です。

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