日本アトピー協会は、アトピー性皮膚炎およびアレルギー諸疾患に対して、安心と安全、そして快適と向上を目指す人々の暖かい誠意に基づき組織された団体です。

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知って得する情報

水について

人の体を構成する70%が水分で年齢が増すとともにその割合は少し低くなります。また血液や体液の塩分、ミネラル分の割合は海水とほぼ同じでいわば私たちは体内に「海」を持っているといえます。72時間(3日間)水を一滴も飲まなかったら生存が危うくなります。
生存に必要な水は成人で1日に2リットル内外、私たちは通常はその100倍あまりの250リットルを生活水として使っています。欧米では1日500リットル、干ばつに苦しむソマリアやエチオピアでは5リットル内外と云われ、これはWHOの指導基準では人間らしい生活が出来る最低のラインとされています。水は大切なものと判りながら普段は無頓着で無駄にしていませんか。アトピーの方にとって「水」はとても大切な要因です。もともと皮膚の水分保持能力が低いことがアトピー素因の一つで「カサカサ肌」となっています。
皮膚に潤いを与えるためには「親水」を常に心がけてください。それには水についてもっと知って頂き、スキンケアに積極的に役立てて頂きたく願っています。

日本の水道水はかなり安心です

水道水に限って云えばとても安価に提供されます。しかも飲用に適した水が蛇口をひねっただけで出てくるのはわが国の他にはアメリカ合衆国、カナダ、イギリス、ドイツ、ハンガリー、韓国、そして北欧諸国ぐらいなもので恵まれた水環境です。
ごく普通の水道水を工夫してごく普通に活用してください。水道局の回し者ではありませんが本当に日本の水道は「怖い」「まずい」のでしょうか。塩素は恐怖の的なのでしょうか。一度立ち止まって考えてください。たしかにごく微量ではありますが、トリハロメタン(有機ハロゲン化合物)・塩素などが心配です、この含有量は日本の水道水では発ガンに至るほどの数値ではありません。
わが国の水道水は諸外国に比して決して悪いものではありません。数年前に東京都で開かれた水のサミットでは東京都の水道水は高く評価され現在でも缶入りで売られています。世界地図の上では水道水が飲めない国の方が圧倒的に多く先進国が集中するヨーロッパでさえ北欧を除いて水道水は飲めません。水道水に関してわが国は恵まれていますので塩素成分が気がかりですが浄水器を使いこなして出きるだけ水道水を活用してください。なお日本一美味しく安全な水道水は東京都昭島市とのことです。

硬水と軟水について
硬水を表す方法は国により異なり、日本やアメリカではカルシウムとマグネシウムの量を炭酸カルシウム量(CaCO3)に換算したものを硬度としており、mg/L又はppmで表記されます。これを計算式で表すと、一般に以下の簡便式を用いて計算することができます。

硬度[mg/l]=(カルシウム量[mg/l] × 2.5)+(マグネシウム量[mg/l] × 4.1)

この式で求められた数値でWHO(世界保健機構)の飲料水水質ガイドラインが出されており、60mg/L以下を軟水、以上を硬水としています。

水道水を工夫して活用してください

  • ろ過は一万円以下の通常の浄水器で充分な物が多く市販されています。ローンを組むような高価な浄水器は不要と思われます。
    ※夜間に汲み置きしておくと翌朝には塩素は抜けています。木炭竹炭を一本入れておくとより効果的です。
  • 一度、沸騰すれば塩素は抜けます。湯冷ましの水にレモンの輪切りを浮かべると自家製清涼水になります。
  • 鉄製のやかんや鍋を使えば微量鉄分を含む水になります。
  • シャワーヘッドから勢いよく水や湯が出ることで大気との接触面積が大きくなり塩素は大幅に消滅します。
  • 給湯器から浴槽にお湯を入れる場合は、塩素分は半減しています。木炭竹炭を一本入れておくと安心。

※重要事項 ミネラルウオーターで粉ミルクを溶いてはいけません
赤ちゃんの粉ミルクの脂肪分がミネラルウオーター中のカリウム、カルシウムと結合し脂肪酸が化学変化して赤ちゃんの消化酵素では消化しにくいモノに変わります。下痢などをひき起こしますのでご注意ください。赤ちゃんの粉ミルク用としてボトル詰めの「軟水」が安心です。逆に肉類の煮込みには硬水=ミネラルウオーター中のカリウムなどの微量元素の働きで上等でない肉でも柔らかく煮込めます。シチューやカレーなどには硬度400前後の硬水が適しています。

ミネラルウオーター類について

ミネラルウオーターはカルシウム分の含有量が1リットル中に200ミリグラム以上の「硬水」を商品化したものです。ちなみに各地の「名水」は概ねカルシウム分が30〜50ミリグラムですので区別しなければなりません。

ミネラルウオーター類の区分
農林水産省が平成2年に制定した「ミネラルウオーター類の品質表示ガイドライン」では次のように区分されています。

ナチュラルウオーター
特定の水源より採取された地下水で、沈殿、ろ過、加熱殺菌などの処理をしたもの。

ナチュラルミネラルウオーター
特定の水源より採取された地下水で地層を移動中または滞留中に無機塩類が溶融した地下水。沈殿、ろ過、加熱殺菌などの処理はしない自然のままの水。

ミネラルウオーター
特定の水源より採取された地下水で地層を移動中または滞留中に無機塩類が溶融した地下水。
沈殿、ろ過、加熱殺菌などのほか、ミネラルの調整やさらしなどの処理をしたもの。また複数の水源から採取したミネラルウオーター類の混合を行ったものも含まれます。

※ 注意事項
赤ちゃんの粉ミルク用にミネラルウオーターを使う方もいますが粉ミルク用は「軟水」でなければなりません。ミネラルウオーターのカルシウム分が脂肪に作用して消化を阻害し赤ちゃんには良くありません。

名水について

日本各地におびただしく名水がありますがブランドが浸透しているから美味い水であるとは限りません。水が美味しく感じるのは環境に支配されるようで水温が体温から20〜25度低い温度がちょうど良いとされています。ミネラル分が1リットル中に50ミリグラム前後、深山渓谷の水も冷蔵庫の湯冷ます水も、この条件下ではなかなかきき分けられないといわれています。
各地の名水情報を手間ひまかけて集め、知る人ぞ知るご自分だけの名水を見つけてください。

雪解け水

雪解け水が体に良い働きをするようで、その理由は未解明ですが世界の3大長寿地域、グルジアやアルメニアのコーカサス地方、パキスタンのフンザ、ペルーのビルガバンバ地方に共通するのは「雪解け水」を飲んでいると言うこと。もちろんこれ以外の要素はたくさんあり、また黒部川扇状地湧水群の水も長寿と関係がありそうで北陸各県も長寿県とされています。
氷河が溶ける時に生命を活性化する何かが水に作用し特異な働きが付与されるとの説もあり、長寿と言うくくりで辿って行けば近くに氷河がある地域に行きつくことは不思議です。

さまざまな売りモノの水について

ミネラルウオーター
特定の水源より採取された地下水で地層中のミネラル分が溶融したもので、ろ過、沈殿、加熱殺菌以外に紫外線殺菌やオゾン殺菌、ミネラル分の調整、水の混合などを行なったものを云います。

ナチラルウオーター
特定水源より採取された地下水で、ろ過、沈殿、加熱殺菌以外の処理を行なわないものを云います。

ナチュラルミネラルウオーター
特定の水源より採取された地下水で地層中のミネラル分が溶融したもので、ろ過、沈殿、加熱殺菌以外の処理を行なわないものを云います。

ボトルウオーター
飲用可能な水を単にボトルにつめただけの水を云います。

深層水
高知県や富山県が事業化して一躍、脚光を浴びてます。最近では化粧水やビールにまで応用されていて深海の神秘性というムードにともすれば流され勝ちですが、宣伝ほどの効果は疑問とする専門家が多数派です。微量ミネラルは確かに他のミネラルウオーターに比べて多いのですが、ナトリウムやカルシウム、カリウムもそのぶん比例して多くなっています。目安として通常のミネラルウオータの3倍程度で飲みすぎると下痢を起すケースもあります。肌にスプレーするとアトピーに効くとの噂ですが噂が一人歩きしただけのこと。効果のエビデンス(証拠)を求めた症例報告は見当たりません。

各地の名水
水が美味しく感じるのは環境に支配されるようです。ミネラル分が1リットル中に50ミリグラム前後、水温が体温から20〜25度低い温度がちょうど良いとされています。深山渓谷の水も冷蔵庫の湯冷まし水も、この条件下では余ほどの「通」でない限り利き分けられないといわれています。とはいうものの、万人が認める名水は日本各地に点在し、ボトル詰にして店頭に並んでいます。ミネラルウオーターとは区別してください。ブランドが浸透しているから美味い水であるとは限りません。販売力の優れた企業の手にかかればそこそこの水でもあっと云う間に名水になります。各地の名水情報を手間ひまかけて集めて、知る人ぞ知るご自分だけの名水を見つけてください。

軟水
1リットル中にカルシウムとマグネシウムの含有量が60mg以下の水を軟水と呼んでいます。わが国は沖縄県を除いて水道水はすべて軟水です。穏やかな流れが多いヨーロッパと違って山が高く流れが短いわが国では地下水を含めて水と岩石と接する時間が短くカルシウムなどのミネラル分が抽出される量が少ないのです。通常の水道水は1リットル中に30mg程度です。粉ミルク用として、お出かけなどにはボトル詰の軟水は重宝します。またスプレーで直接肌にスプレーするときにもあれば便利です。

アルカリイオン水
ひと時はブームとなり飲食店などでは客寄せ用としてずいぶん活躍しました。確かに身体には悪い作用は無いようです。ただアルカリ性だから体内でもアルカリ性を維持できるのか…となると疑問視する研究者もいて、本当のところ効能は判りません。参考例として、過去に6回開いた協会主催の海水浴キャンプで、海から上がったあとにアルカリイオン水で肌を洗うと日焼けによるヒリつきやアトピーの悪化が見られなかったことは、参加者が30名以上だったことから少なくともアトピーに悪い水ではなかったと思われます。

温泉水(基本的に飲用不可)
温泉療法の有効性は疑うべきもありません。メソッド(手順)さえきちっと守って行えば一定の治癒成果は得られるはずです。アトピーの方々の間では別府の鉄輪温泉あるいは北海道の豊富温泉がいいとか、何処そこの温泉が良いなど温泉に関しての話題は豊富です。しかしアトピーに良い温泉のお湯を自宅の浴槽に運んでくるとなると話は別です。温泉成分には半減期があってそれも数時間単位で減衰します。温泉宅配システムではそのことをコカコーラのように「ミステリアス・ブレンド(秘密の配合)」により効能が維持できると説明しその配合は企業秘密となっています。ただ宅配を受ける費用があれば近場の温泉で長期間の湯治ができるのではないでしょうか。

酸性水(基本的に飲用不可・抗菌作用)
酸性水を生成する装置は医療器具として認可され、使用後の医療器具洗浄用として現場では重宝な存在です。酸性水をアトピーの患部に噴霧したりするときは必ず医師の指導を受けてください。比較的酸度の弱いのがアストリンゼントです。ただし超酸性水は希硫酸に近い値のphですので慎重に扱ってください。なお電解水または電解生成水という呼び方で酸性水をつくる機器を高価に売付ける業者が横行していますのでご注意ください。

純水
半導体製造の現場で洗浄水として使われます。何度も濾過しながら不純物を取り去って文字通り「H20」の水に仕上げます。したがって飲用が目的ではありません。飲むとどうなるかという医学的データはないようですが、水は物質を溶かして取り込む能力が優れているから水として存在しているわけで、純水を飲用すると口腔内や食道の粘膜表面の組織にダメージを与えかねません。つまり身体には毒になる可能性が大きいようです。高額な逆浸透膜応用の浄水器を購入する必要はないようです。

医用水
注射薬や点滴薬などの医薬品を工業生産するときに使う水で、法令で必要な基準を充たしたもの、一般には市販されていません。不純物の混入は絶対に許されない水ですが、必ずしも純水である必要はないそうです。不純物を徹底的に排除する過程は高度なナノテクの世界ですが、わが国はこの分野では世界のトップクラスです。

オゾン水
殺菌効果の強いオゾンを溶け込ませた水で、アトピーの湿疹面の制菌や消毒には適していますがオゾン水はサイダーと同じと考えてください。わずか5分で「気が抜け」ますのでこの間が勝負です。オゾン水生成器からの流水が理想的で、消毒薬で絶えず手を洗っている医療関係の方がオゾン水で手洗いし手荒れが激減したと言う報告もあります。生鮮食品の洗浄にも使われています。お奨めしますが機器は高額です。ボトル入りは無効です。水温が30度近くになるとオゾンが抜けてしまいます。

蒸留水
薬剤を溶いたり、また車のバッテリーなどにも使われて広い範囲で応用されていますが飲用には適しませんし味がありません、文字通り水臭い味です。ただグリセリン等を溶融して肌に噴霧するには無難な水です。この場合はカーショップなどではなく薬局で精製水として売っているものを使ってください。

亜臨界水(研究中)
最近注目されているのが高圧高温の亜臨界水です。水産・畜産廃棄物などの有機ゴミの資源化に役立っています。高温高圧の条件下では水の分子結合が壊されるから「臨界」というそうですが、そのとき解放された分子が自由運動して有機物と結合しゴミを有用物質に変えるそうで、焼却しか方法がなかった水産・畜産廃棄物から「未知の薬品」が出てくる可能性が臨界水によって広がります。

πウオーター(?)
水をπ濾過剤でπ化するπウオ−タ−システムで水道水中に含まれるというMXなる物質を除去するとともに、π化ミネリッチ層で水のミネラルバランスを程よく整えるという説明文で通常の理解力では意味不明。変異原活性(もっともらしくnet His rev/1と記してある)が水道水で2000と云う値、π化した後のπウオーターは0となるらしい。空想科学で高価な機器の購入を迫る商法があるようです。

磁化水(?)
磁場をかけると水が磁化するというのは幻想に過ぎません。もし磁化されるならMRIを受けた患者さんはどうなるのでしょう。車一台分を持ち上げるほど強力な磁場に人体が晒されるのです。血液のヘモグロビンには鉄分も含まれています。磁化されるならあっという間に血栓が出来て死に至ります。水道の蛇口に磁石を挟むだけで水が磁化されるほど水の物理的物性は単純ではありません。また磁気を通すとクラスターが小さくなって体内に吸収されやすいと云う説も仮説の領域で証明は現代科学では不可能です。透明でクリスタルのような氷が証拠写真に使われていますが凍結温度がさがればどんな水でも透明な氷になります。

超エネルギー水(?)
血液の正常波動を水が記憶していると云う、およそ荒唐無稽な発想。ありえない空想の産物です。

波動水(?)
物体には固有の波動があるという説に基づいたものですが、確かに水素は21センチの波長を持っています。元素には固有の波長があることは確かですが、それを受けてエネルギーとして取り込むには余にも微かで、高度な設備が必要です。私たちの身の回りの空間は、携帯の電波やテレビやラジオ、また消防や警察、航空機の運行支援など隙間なく電波に充たされています。その中で微かな波長に感応し水に封じ込めるという発想はSF的ではないでしょうか。

水は判らないことだらけ、だから騙しやすいのです

水質検査の簡易キットが市販されています。遊離残留塩素、亜硝酸、遊離シアン、鉄、銅などの水中濃度の目安を色で示すもので20回分が2千円程度で入手できます。遊離残留塩素の場合は1リットルあたり0.1から5mgまでの範囲で簡単に計れます。なお浄水器のセールスマンがこの試薬をよく使っていて、その場で残留塩素を計り試薬が濃い色を呈すると多くの方はびっくりして高価な浄水器を購入しようと心が動きます。しかし試薬は敏感ですのでごく僅かの残留塩素でも濃い色で反応します。ご用心ください。

※重要事項 ミネラルウオーターで粉ミルクを溶いてはいけません
水についてはまだまだ知られていないことが多く凍結点を0度、沸点を100度としているのに絶対温度237度という中途半端な温度がなぜ水の凍結温度なのか。なぜ他の液体物質の凍結温度と気化する温度差が水より小さいのか。なぜ凍結温度より4度上回る温度で水の密度が最大になるのかなど謎は一杯です。
それとアトピーとどんな関係があるの…との声が聞こえそうですが、そんな謎だらけだからこそ新説珍説が一人歩きして「アトピーに効く水」と称し、購入を強要してきます。訳のわからない事柄なればこそ言葉の「レトリック(修辞学)」で騙すことができるのです。アトピーも「なんじゃモンじゃ」と云うギリシャ語の語源の如く、訳の判らないことが多すぎるから「詐欺師」が大手を振って活躍できるのです。
超能力などの超常現象にはロマンのあることは否定できません。これも一般常識で理解できないから惹かれるのです。
修行によって体が宙に浮くとか、気功に精通し修行をすれば指先から火花が出るなど「そんなアホな」と思いつつ心のどこかでそんなことが出来たら素晴らしい…と望んで期待するのです。同じような論法で「アトピーに効く」というトークが使われます。そして「水」を媒介とすることがとても多いと相談窓口で実感しています。「水商売」ほどボロいものはないという手口にはまらないために、もう一度「水」についてじっくりと考えてください。

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